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リンさんの小さな子

 フィリップ・クローデルの「リンさんの小さな子」に関する読売新聞の書評を、だいぶ前に読んだ。これは読んでみようと思ったのだが、まずは出世作の「灰色の魂」を読まねば、と取りかかった。クローデルといっても、ポール・クローデルやカミユ・クローデルとは関係ないらしい(たぶん)。(そういえば、「あの空の下で」のフランシスコ・ヒメネスも「プラテーロとわたし」のヒメネスとは関係ないみたい。勘違いして借りてしまった。面白かったけれど。)
 この「灰色の魂」が、けっこうど~んと重い話で、初めのほうはくじけそうだったし、後半は思わず読み進んだけれどきつい内容だった。で、「リンさんの小さな子」もそうだったらどうしようと思いつつ読み始めた。31594304.jpg
ところが、こちらは文章の雰囲気が全然違った。もともと掌編だし、読みやすくてあっとういう間に読了。とはいえ、ストーリーは全然軽くない。アジア(おそらくベトナム)の戦争で爆撃を受け、息子夫婦を失った老人が、産まれて間もない孫娘を抱えて難民としてフランスに渡り、やはり妻を失った男性と知り合う。お互いの言葉はまったく通じていないが、心の交流ははぐくまれ、だが最後には不幸な結末を迎える。リンさんの周囲の人は、みな善意の人だけれど、その好意はリンさんを、本当に望んでいることとは違うほうに運んでいってしまう。
 話半ばで、この小説の鍵となる「おち」はわかってしまったんだけれど、そんなことに関係なく引き込まれた。リンさんの難民となっても凛としたたたずまい、孫娘を守ろうという気概に打たれた。フィリップ・クローデルは、実生活でもベトナムの孤児を引き取り、この娘さんが1歳の頃この小説が出版されたらしい。
 戦争が壊すことはたやすいけれど、再生することは困難である。美しいけれど胸の痛い小説でもある。
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しおん

  • Author:しおん
  • 4人の子どものうち、1人は結婚し孫もできました。まだまだ子育ては続きますが、日々格闘しながら、ピアノと向かう毎日。大好きな本のこと、ベランダの緑、趣味の手芸もご報告していこうと思っています。
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